技術と労働力の同時改革がデジタルトランスフォーメーションの鍵

2020年1月

このところ企業の優先課題として注目されているデジタルトランスフォーメーション(DX)。しかし、最新のある調査から、成果をあげるためには労働力(ワークフォース)の革新も欠かせないことがわかってきました。

今、各業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)がもたらす効果に期待が高まっています。しかし、期待がしぼんで失望と変わることも少なくありません。実際、DXに取り組んだ企業の30%ほどは、取り組みが実を結ばず、投資が水の泡に帰したと打ち明けます。しかし、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(エコノミスト誌の調査部門)が最近行った調査(英語サイト)では、労働力(ワークフォース)の革新を同時に進めることでDXの成功率が大幅に高まることが明らかにされました。

富士通とシトリックス・システムズ社が協賛したこの調査によれば、働き方のモデルや業務ツール、従業員のスキルを見直した企業に成功が訪れることが多いとされています。

デジタルトランスフォーメーションと働き方改革:切り離せない2つの革新

北米、ヨーロッパ、オセアニア、日本の経営層200名を対象としたこの調査では、DXと働き方改革の切り離せない関係を75%の回答者が指摘しています。

富士通でフューチャーワークプレイスの戦略・構想の担当部門を統括するアンドリュー・デイビスはこの調査結果について、「今回とくに、経営層の75%がデジタルトランスフォーメーションと働き方改革の間に共通の目的があることに気づいているという結果が重要です。これは、従業員はより価値あるデジタルスキルを身につけたいと考えているということを意味しています」と話します。

「従業員と経営側の双方に役立つ研修や技術導入を考えているのであれば、働き方改革を進める意味が十分にあります」。

過去、働き方改革に取り組んだ企業の92%が、デジタルトランスフォーメーションと働き方改革が目指すところは同じだと指摘しています。

さらに、成果をあげた企業の87%がその関連性を認め、DXと働き方改革の成功は互いにつながっていると考えています。




これを地域別に見ると北米を中心にその傾向が顕著に見られます。過去3年間に大がかりな取り組みを行った企業が38%あり、北米では革新を成果させたいと指摘した企業が68%に達しました。

DXと働き方改革のつながりを認める回答者は全世界で30%、北米では54%となっています。

革新の課題

エコノミスト誌の調査部門はこの調査についてwebinarを実施(英語サイト)していますが、今回の調査によって意外にも働き方改革を成功に導くためにはコストがかさむことが浮き彫りにされました。そして、単発で行う施策、スキル研修、昇給などに大きな経費がかかります。

また離職率や新体制への抵抗、新しいタスクへのやる気の乏しさを指摘する声もありました。「働き方改革を始めていない場合、厳しい市場環境を乗り切るための人材を確保しておくことができなくなる」とシトリックス社の人事最高責任者、ダナ・キーメル氏は指摘します。




問題はコストだけではありません。今回の調査では、革新を阻む壁について指摘されています。回答者の38%が、革新の阻害要因として、変化に対する従業員の抵抗を挙げています。また、33%が低い費用対効果、労働法の問題、経営層のリーダーシップの欠如、判断データの欠如を挙げています。

また、従業員のあるべき姿についての理解の欠如も指摘されています。




壁を乗り越える

幸いにして調査では、こうした課題をどう乗り越えるかについても示されています。

80%以上の回答を得たのが、働き方改革に向けたテクノロジーへの投資。また、自社インフラの大幅刷新を挙げる声も38%あり、調査報告は「最も成果を挙げている企業はおそらくインフラの刷新を終え、働き方改革に着手している」と述べています。

働き方改革に関して過去3年間に行われた14の施策のうち最も優先順位が高かったのは、テクノロジーへの投資です。予算を大幅に増やした企業は全体の45%にも昇り、わずかでも増加した企業は35%でした。

また、回答者の75%以上が、別の施策として従業員のデジタルスキルへの投資、昇給を挙げています。




誰が取り組みを牽引するのか

もうひとつ今回の調査が示した点は、経営層の積極的な関与です。

どのような立場の人がリーダーシップを取るべきかという問いに対し、29%の回答者がCEOと答え、25%がテクノロジー部門のトップ、19%が人事のトップを挙げています。ヨーロッパや北米では、大企業のケースと同じくCIOがその役割を果たす場合が多く見られます。「これからも働き方とテクノロジーの革新がそれぞれ切り離せないものであることがわかる」と調査報告は述べています。




上記に示した通り、DXと働き方改革には共通する部分が数多くあります。企業が後者で成果をあげるためにはDXをまず成功させる必要があります。働き方改革に向けての道を拓くのはデジタルテクノロジーだからです。

• 調査レポート「働き方改革とビジネス戦略の統一」をダウンロード
  ※リンク先は英語のサイトになります。

• エコノミスト誌の調査部門による「働き方改革の戦略」についてのwebinarを見る
  ※リンク先は英語のサイトになります。