Photography: Enno Kapitza

事業価値を高めて顧客満足度を向上

2019年1月

スペインのイベルカハ銀行は、デジタル革新により、オンラインや店頭において顧客満足度の高いサービスを提供しています。しかし、これはより大規模な変革のスタート段階に過ぎないとCIOのレアンドロ・エルミダ氏は語ります。

イベルカハ銀行はヨーロッパの銀行業界では比較的新しい銀行ですが、歴史を遡れば創業150年の実績を持っています。10年ほど前から5年間かけて、スペイン北東部の一連の貯蓄銀行と資産管理会社が合併し、同行が誕生しました。以来、業績は伸びつづけ、現在の顧客数は300万人にものぼり、国内8位の規模を誇る個人向け取引銀行へと成長しています。こうした成功に支えられ、同行は技術戦略にも高い目標を掲げており、この3年で大きな成果を挙げています。

「最初に目指したのは、オンラインおよび店頭における顧客体験と顧客満足度の向上です」と同行CIOのレアンドロ・エルミダ氏は話します。モバイルアプリ、スマートATM、その他のデジタル媒体を駆使して、同行は日常的な銀行業務を店頭からデジタルチャネルへと移行させていきました。「それがまた、1,200にものぼる支店の店頭業務改革につながりました。時間やスペースに余裕ができたため、行員はお客様に、より価値のあるサービスをすばやく提供できるようになったのです」。

デジタルとフィジカルを同時に変革

店頭での顧客対応を変革するためには、業務環境も変えていかなければなりません。そこで現場には新しいワークプレイスツールやアプリケーションが導入されました。「顧客接点が変われば、当然対応の仕方も変わります。大半のサービスはデジタルに移行していますが、フィジカルの部分もまだ残っています。そして銀行としてはデジタルとフィジカルの顧客体験に齟齬がないようにしなければなりません」とエルミダ氏は話します。




デジタルとフィジカルを同時に変革する手法は、スピード感を持って成果を挙げるうえで非常に有効です。2015年から2017年にかけて、イベルカハ銀行はデジタルチャネルを用いた取引の割合を22%から43%にまで高めました。この数字は現在も急激に伸びている、とエルミダ氏は話します。

現在、同行は2020年までの予定でデジタル革新の第2段階を進めています。ここではワークプレイスモデルとアプリケーション、接客チャネルの強化がはかられると同時に、販売やマーケティングのプロセスとアプリケーションの刷新が考えられています。「お客様のコンタクト窓口から始めて、バリューチェーン全体をデジタル化していく計画です」とエルミダ氏は話します。最新のデータ解析を用いた顧客や業務内容についてのインテリジェンスの開発も検討されています。

パートナーシップの重要性

イベルカハ銀行がデジタル革新を成功させるには、5,500人の社員のスキル教育も視野に入れなければならず、この点に関して同行は技術サプライヤとの緊密なパートナーシップを重視しています。「中規模の銀行なので、IT系の人材不足をパートナーに補ってもらわなければなりません。優秀な人材もそろっていますが、IT部門はそれほど大きな組織ではないので、すべてを自社で行うのは少々無理があります」とエルミダ氏は話します。

「業務モデルの変革をはじめ、課題を乗り越えてデジタル革新を前に進めていくうえで、パートナーが力になってくれています」とエルミダ氏は続けます。先進技術の紹介だけでなく、アジャイルな仕事の仕方などにもパートナーからの助言が入ります。「これまでの仕事の進め方とは異なるのでタフですが、既に結果をだしています」。

エルミダ氏によれば、イベルカハ銀行は富士通と14年にわたる協業関係にあります。当初はメインフレームやデータセンターなど、基幹システムのサポートとIT環境の革新が中心でした。現在、その関係はATMネットワーク(一貫した顧客体験を提供するため、リニューアルを計画中)、店頭アプリケーション、端末に関する業務にまで広がっています。

金融業界を襲う変化に対処するため、より大きなエコシステムに参加していこうとする意思がこうした協業のなかに感じられます。「業界を超えて自分たちのサービスを他社のバリューチェーンに組み込むと同時に他社のサービスを自分たちのバリューチェーンに取り込んでいこうと考えています」とエルミダ氏は語ります。