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マルチクラウドで事業変革を加速

2019年1月

国境を越えて急速に拡大する事業を支援するため、カジノホテル大手のシザーズ・エンターテインメント社はクラウドを基盤としたIT戦略に大きく舵を切りました。この動きが同社にどんな変革をもたらすのか、CIOのレス・オットレンギ氏が語ります。

シザーズ・エンターテインメント社は、1966年ラスベガスにオープンした高層のカジノホテルとその複合施設“シザーズパレス”の経営母体として知られています。年間収益50億ドルのこの企業は、買収を通じて近年急速に事業を拡大しており、プラネット・ハリウッド、ハラス、ホースシューといった著名なブランドを軸に、現在50のカジノホテルと7つのゴルフコースをグローバルに展開しています。

こうした事業拡大は、IT領域のサービス開発と運用管理に独自の課題を突きつけます。

2016年、デジタル革新の戦略策定および事業成長を支えるIT環境の構築をその役割として、レス・オットレンギ氏はシザーズのCIOに就任しました。同社が必要としていたのはクラウドコンピューティングでした。クラウドをベースに7つのデジタル革新プロジェクトが立ち上がり、うち6つは18ヶ月で本格運用となりました。

錯綜する環境をクラウドで統合「まず、ユーザーにメリットがあること、そして業務効率や収益向上のために、デジタル技術を活用したいと考えていたので、クラウドという選択は当然のものでした。事業戦略としてもそうですが、既存インフラの複雑さの解消や経費削減という意味でも当然の選択です」とオットレンギ氏は話します。実際に、同社の既存環境は混沌としたものでした。20年前のシステムによって構築されたインフラの上で様々なサービスが展開されていたのです。アプリケーションは市販品を大幅にカスタマイズしたものが提供されており、なかには8割近く機能変更されたものもありました。さらにその数も600以上に膨れあがっていました。




この状況を打開するために、オットレンギ氏はセールスフォース・ドットコム、オラクル、インフォア、マイクロソフトのクラウドプラットフォームサービス、AWSのクラウドアプリケーションを導入し、マーケティング、経理、人事、カジノ運営、顧客サポート、従業員サポート、サイバーセキュリティといった業務に展開しました。これによって、複雑性がかなり改善されたとオットレンギ氏は話します。しかしまだ、クラウド間にまたがる情報や業務プロセスを統合する必要がありました。この課題に対して、それぞれのクラウドに調整レイヤを設け、アプリケーションとデータ、またアプリケーション同士を連携させるマイクロサービスを導入しました。それでこれまで、連携のために不可欠だったサービスを一掃しました。いま手がけているデジタル革新プロジェクトは、シザーズ・エンターテインメント社に大変革をもたらすだろうとオットレンギ氏は話します。それは同社が運営するすべてのゲーム(カジノ、ビデオゲーム、eスポーツなど)とそのプラットフォームを連携させるもので、そのための基盤としてクラウドが検討されています。「単にユーザーサービスの質やそのコスト効率を上げるだけでなく、事業の機動力とスピードを高めるためにもクラウドは役立ちます」とオットレンギ氏は語っています。