インパクトをもたらす共創

2020年8月

ステークホルダーに対する新しい価値の提供、新たな市場の開拓、レジリエンスの強化など、様々な目的を胸に経営者たちは、企業の革新を急いでいます。それを後押しするため、富士通はHuman Centric Experience Designという独自のアプローチを提唱しています。デザイン思考の手法を共創に活かし、デジタルツールを用いてアイデアをかたちにしていきます。

気候変動、AIの台頭、ダイバーシティやインクルージョンに関する課題、そして直近のコロナ禍。あらゆる常識が覆され未来が見通せないこの時代に、企業経営者はいかにして事業成長を成し遂げるか、その手段に悩んでいます。

AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンといったテクノロジーは、大きなビジネスチャンスを生みだす潜在力を持っていますが、それらを事業目的に結びつけることができていないケースが多々見られます。テクノロジーから着想を得たとしても、それを磨きあげていく仕組みや場がなければ、すべては徒労に終わります。経営コンサルティング大手のマッキンゼー社によれば、デジタル革新の7割が途中で頓挫しているということです。

しかし、効果のある手法もあります。とくに富士通が提唱している手法は多くの成果をあげ、業界で高い評価を受けています。富士通のHuman Centric Experience Design(HXD)は、デザイン思考のマインドセット、手法を基礎として、独自のデジタル技術を用いたワークショップなどの活動にさまざまなお客様との共創から得られた実践知を組み合わせ、お客様やパートナー様とともにビジネスの変革を実現します。

成功要因

富士通の共創プログラムのグローバルヘッドを務めるジョー・ボックスは、HXDについて、高い目標と実践力を兼ね備えた戦略的なデザインアプローチと説明します。「経営層がデジタル技術を活用して、ビジネスや社会に利益を届けられるような仕組みになっている」とボックスは説明します。「共創、信頼のもと、参加者全員がプロジェクトに取り組み、力を発揮する場を提供します」。

富士通のHXDを支える3つの柱について、ボックスはこう語ります。「まず、お客様の重要課題を抽出します。そして、この問題に関する部門責任者、現場担当者、その事情に詳しい富士通の専門家と技術者を一堂に会し、短期集中的に議論を重ねます。そこには問題を知る人間と多彩な経験と視点を備えた人間がおり、対面やオンラインで意見を交わします。また、共創を機敏に進める機能的なデジタルツールも揃っています。最短で成果をあげるために、目的志向で共同作業を行い、最新テクノロジーも活用しますが、その場合には人を中心とした視点を常に念頭に置いています」。

ジョー・ボックス
富士通 共創プログラム グローバルヘッド
富士通のHXDは一朝一夕に生みだされたわけではありません。2011年に、デザイン部門が中心となりその基礎を作り、以来改良が加えられてきました。建設大手の竹中工務店様をはじめ、世界の多くの企業がこの手法を試し、その有効性を実証しています。

最近の事例としては、竹中工務店様とメルセデス・ベンツ日本様の共同設計によるコンセプトハウス『EQ House』にこの手法が活用されました。EQ Houseは、人、スマートホーム、コネクテッドカーをつなぐ未来をコンセプトとして生みだされた家です。お客様とともにDXを実現するアプローチとしてHXDはさらに改善を加えています。

コラボレーションの新しいスタイル

HXDがまず重視するのは、変革に向けたマインドセットを醸成し、お客様、パートナー様、ベンダーの関係をより深くすることだとボックスは強調します。

「海外の事例に注目すると、この2、3年でお客様やパートナー様との共創の場や手法が変わってきています」とボックスは話します。共創セッションは世界各国にある富士通のデジタル・トランフォーメーション・センターで行われることもあれば、お客様先やオフサイトに出張するかたちで行われることもあります。また、最近増えてきたのは、参加者がアバターを通じて共創に参加するバーチャルセッションです。これは、リアルのセッションよりも有効に働く場合もあります、とボックスは述べています。

「アバターは参加者を表すキャラクターで、社会的立場の違いやジェンダーの壁を越えて誰もが気軽に意見を交わし、可能な限り幅広く参加できるようになります。このバーチャルの場では、どのような声もないがしろにされず、誰もがソリューションの設計に携わることになります。いずれの場合も、人を中心に考え、決してテクノロジーのお披露目のようなかたちにならないよう自然な環境作りに配慮しています」。


バーチャルの富士通HXD体験


仲間意識とやる気を抽き出すため、セッションは少人数で行います。これまでの経験、物の見方、年齢の異なる人員で構成します。結果を出すにはその多様性が欠かせません。年齢を問わず、様々な意見が出てくることに意味があります。メンバーには問題の重大性を理解している『顧客』を含めます。一般消費者の場合もあれば、社内ユーザーの場合もあります。

富士通から参加するメンバーは当該分野のCTO、ソリューションアーキテクト、技術のスペシャリストです。この他にパートナー企業や大学から人を招き、視野の幅を増やすことが有益だということも分かってきました。

「個人の力を最大限に抽き出し、すばやくソリューションを生みだすため、様々なツールや手法を活用します。例えば、アイデア発想を促すために開発された800枚のインスピレーションカードなどデジタルコラボレーション用のツールが各種揃っています」とボックスは話します。

 海運会社コングスベル社:規制順守の課題に挑む

省エネルギーの目標を達成する必要性が海運業界で強く求められています。海運事業を展開するコングスベル社は、富士通のHXDアプローチを採用することによって、AI技術を活用したソリューションを導入しました。



目的として設定した成果を得ることに注力しており、共創プログラムを経験したあらゆる産業のお客様との取り組みがその成果を物語っています。

例えば、右のコラムに示したルクセンブルク国鉄(VLF)や物流サービスのコングスベルなどの成功事例のほか、英環境庁(マルチチャネル洪水警報システム)、ニューサウスウェールズ州環境遺産局(絶滅危惧種モニタリング)、英国自閉症支援団体(知覚障害のある自閉症患者支援)などの事例があります。

企業経営者はなぜ富士通のHXDに関心を示すのか?その理由についてボックスはこう話します。「経営者の思いを形に表し、早く、確実なディシジョンを促すからです。差し迫った課題の解決に専門家が手を貸してくれるのですから」。

 ルクセンブルク国鉄:Webエクスペリエンスの改革

乗客や貨物事業者向けのWebサイトが満足度アップに有効であることを知ったルクセンブルク国鉄(CFL)は、プロジェクトの根底に人中心の考えを掲げ、顧客満足度を向上させることができました。