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石油・ガス業界におけるウェアラブル技術の役割

2016年9月

BPの技術幹部、ブレイン・トゥーキー氏がウェアラブル技術を同社の現場作業者に適用する可能性について語ります。

デジタル革命の利益を受けるのは、動きの速いスタートアップ企業だけではありません。石油・ガス業界の巨人である、BPのような歴史のある企業もまた、デジタル破壊がもたらす利益を享受しようとしています。

ブレイン・トゥーキー氏は石油・ガス業界でのデジタル技術の適用がコンシューマー市場ほど速くは発展しないと考えています。しかし、IoTとウェアラブル技術は石油・ガス業界の将来において大きな役割を果たすとも考えています。

同時に、ウェアラブル機器が過酷な使用環境や厳しい安全基準を満たすことができなければ、石油・ガス業界がこの技術を、競って採用するようにはならないと警告しています。

BPで採用するには、何か重い物をぶつけられたり、踏みつけられたり、腐食物質にさらされたり、60℃のイラクの砂漠からマイナス50℃のアラスカの冬までの極端な気温にも耐えられる必要があります。

また、どんな電気製品も本質的な安全認証を満たす必要があり、発火しないことが必要です。世界各国で、様々な基準があり、機器認証は簡単な製品で6ヶ月、大きくて複雑な製品で3年程度必要となります。

売上とモビリティ

しかし、石油・ガス業界向けのウェアラブルを追求することは価値あることです。適切な技術が導入されれば、年間で50億ドルもの利益を得る可能性があります。この可能性の多くはモビリティが中心となります。

モビリティは、石油・ガス業界でどのようにウェアラブル製品が活用されるかが鍵となります。現場で作業する人は、無線とガス監視装置を持って一人で作業するのが一般的で、デジタル革新から取り残されています。しかし、本質的に安全な規格の携帯電話(危険な環境でも使えるよう十分堅牢に設計されたデバイス)がこの状況を変えようとしています。使い始めて1年しか経っていませんが、今では3、4タイプのアンドロイド・スマートフォンを使用しています。それらを使って、現場で保守ワークフローを行えるようになりました。作業者はデータを入力して検査ポイントを確認することができ、プラント設備でのモビリティ活用がまさに始まりつつあります。

私たちの目標は、全ての現場作業者がモビリティを使えるようにすることです。その実現には、企業用のモビリティと同様に産業用のモビリティも必要です。

"既に機器の導入実績があり、かつ、かなりの投資を見込んでいるので、ウェアラブルの開発企業は多くの機会があります。"

モバイル・ネットワークの発展は、BP社内でのモバイル・ワークの実現にきわめて重要です。ウェアラブル製品はハブと接続できれば良くて、中継機能を必要とせず、4Gか5GのネットワークがあればWiFiアクセスルーターも設置する必要はありません。

安全性と効率性

耐久性のある携帯電話が登場した時に、石油・ガス業界はそれを歓迎し、ウェアラブル製品にも同様の期待を持っています。石油・ガス会社がウェアラブル技術から得られる利点の上位には安全が挙げられます。

環境に関するフィードバックをリアルタイムで制御室に伝え、関連作業者にもフィードバックすることにより、ウェアラブル製品は現在実現されていない多くの外部センシングを実行することができます。

作業員を50℃の非常に暑い環境におき、一度に最大2時間の仕事を課します。作業者の健康状態に何が起こるか、それを監視することは本当に価値があると考えています。スマート技術によって、労働者の上着を通して緊急対応の必要性を監視し、知らせることができれば、更に大きな機会となります。

ブルートゥース接続された小型の多くのセンサーが、作業員が重すぎるものを持ったり、誤った姿勢で物を持ち上げていると、正しい姿勢で持ち上げられるように助けたりしてくれます。

効率性は、BPがウェアラブル製品から得られるもう一つの利点です。現場に出る前に、BPの作業者は頭からつま先までの耐火装備、すなわち安全帽、安全ゴーグル、聴覚保護、耐火性グローブおよび安全靴を装備しています。これに無線、ガス監視装置、道具を加え、スタッフの負担は非常に大きくなっています。

将来に向けた要望

将来、ヘッドアップ・ディスプレイ技術が負荷を軽減し、一貫した速い意思決定を可能とし、仕事の質と正確性を改善することを期待しています。

アンドロイド・スマートフォンはまさに革命的な製品ですが、理想的には作業員にハンズフリーでデバイスを利用できるようにしたいのです。全ての情報をヘッドマウント・ディスプレイに表示できれば大きな利点となります。認証を得る必要がありますが、数年後には作業効率をより大きく向上させる可能性があります。

現場作業員が施設を見渡し、パイプやポンプ内で起こっている情報を入手し、それらの機器仕様の詳細を見ることができるようになると期待しています。

ウェアラブル製品が石油・ガス業界の作業員にもたらす新しいパラダイムを期待しています。この技術は、自動で状況を認識するため、作業者は現場で正しい知識を得られるようになります。「人が倒れた」ということが同僚や制御室に自動で知らせるようになることは、大いに価値があります。

しかし、現行のセンサーの数や重さは、BPのニーズに応えていません。軽量で衣服や機器にシームレスに組み込まれ、そして接続される設計を求めています。汚く、劣悪な環境で現場作業をしているので、 厳しい環境での信頼性や、洗濯できることも非常に重要です。

ハードメーカーに、これらのウェアラブル製品を開発するメリットを理解してもらうため、参考までに石油・ガス業界で現在使われている装置の価格を紹介すると、無線装置に1,000ドル、古いモバイル『デバイス』に5,000ドルをかけています。

この数字から、わずか数個のセンサーを交換するだけでかなりの額に上り、ウェアラブル製品の開発企業は多大な利益を得ることが分かると思います。そして、昨今の原油価格の低下傾向から、業界はイノベーションを求めています。

•ブレイン・トゥーキー氏はロンドンのウェアラブル技術ショーで講演しています。