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Image: Getty

グローバルITサービスを提供するベスト・プラクティス

2016年6月

CIOは、自社のグローバルな組織に所属する従業員に対してITサービスを提供することを、戦略的なテクノロジー・パートナーに期待しています。優れたグローバルサービスを提供するために必要となる、重要な要素は何でしょうか。

近年、幾つかの大手IT企業が、デスクトップPC、ノートPC、プリンター、ローエンド・サーバーなどの事業を売却し、エンドユーザー向けIT市場から手を引くということが起こっています。戦略的な意思決定に基づくものではありますが、これは従業員が日々使用している重要なシステムからIT企業が距離を置いてしまうことを意味します。富士通のグローバル・デリバリー・チーム VPでグローバル・プログラム・マネジメント・オフィスの責任者であるアレックス・キュリアス氏は、「ITで最も歴史のある業務」である、「製品が壊れた際に修理をして、従業員がITから最大限の価値を得ること」を支える、という業務を失うことにつながると考えています。

企業や従業員は、自分たちの業務がスムーズに流れ、結果として彼らの顧客に製品やサービスを提供するために、PCのソフトウェアの更新やトラブル時のヘルプデスクから、現場のIT機器の修理に至る、ITサービスに依存しています。

このような業務を様々な国や地域で提供するために、統制や連携の取れていない第三者に単純に委託をしてしまうITベンダーもいます。しかし、富士通は異なったアプローチをとっています。従業員のIT向けのサービスを全て揃え、グローバルに一貫性を持ち、統合されたサービスを提供することで、他社との差別化を図ろうとしています。

キュリアス氏の同僚であり、グローバル・デリバリーの技術保守サービス責任者、アンディ・ペインVPは、同様の見方をしています。私たちは、自社で数多くの従業員を抱え、しっかりと統制・連携の取れたパートナーシップモデルを採用し、グローバルなオンサイト・サービスを提供しているという点で、この分野でユニークな価値を提供しています。

そのサービス・ラインナップには、世界経済の中枢を担っている60カ国で活動する富士通エンジニア15,000人に加え、高い技術力と実績を有する1,550のパートナー・ネットワークによって、アフガニスタンからジンバブエまで更に120カ国にサービスを広げています。8,000人以上の顧客対応スタッフを抱える8つのグローバル・デリバリー・センター(GDC)からリモートで、また、ベルギー、コスタリカ、フィリピンをつなげ、24時間体制でオンサイト・サービスのコントロールを行うグローバル・プログラム・マネジメント・オフィス(GPMO)の指示を受けたフィールドサービス・エンジニアがオンサイトで、サービスを提供しています。

顧客との連携

昨年、ガートナーのアナリストは、富士通のエンドユーザー・アウトソーシング・サービス売上の75%を占める欧州地域のサービスを、「実行能力」というカテゴリーで第1位に選びました。

多国籍企業へのサービス提供は、グローバルで統一されていることが重要です。しかし、優れたグローバルサービスを提供することの本質は、お客様との接点から始まるのです。

私たちは最初に、顧客のニーズを理解し、顧客が何を推進しようとしているかを知ることから始めます。その知識をベースに、富士通のチームは顧客が望む成果に連動したサービスを構築し、世界規模で提供します。これには、顧客の事業をより効率的に運用し、顧客の取引をより多く処理し、顧客の従業員がより多くの業務をこなせるようにすることが含まれます。

本質的に、私たちは我々の顧客を超えて、顧客のお客様に目を向けています。異なるサービスがもたらすビジネスへの影響を理解することで、顧客のお客様が根本的に異なる体験を得るにはどうすれば良いのかを考えています。

ダイナミック・サービス

企業は、サービスの内容が顧客のビジネスの特性とマッチしていなければならないと認識しています。 単一のサービスで全てに対応することはできません。標準化されたサービスを提供することは重要ですが、そのようなサービスは、ビジネスの特性、地理、文化および、世界中で異なるビジネスモデルに合わせた最適なアウトプットを生み出すベースとなるのです。

富士通は、顧客の要求の変化に対応してサービスを創りだすことが、差別化につながると考えています。例えば、確定申告シーズン中の業務のピークに対応するために、税務署へのサービスを柔軟に増強することや、小売業者向けにホリデーシーズンにサービスレベルを高めることを意味します。 例えば、小売業者には、1年の殆どの間、使用していない支払いレジがありますが、年に数回、全てのレーンを稼動させる必要があり、その時のITサポートは完璧である必要があります。小売業者は、時期によって異なるサービスレベルが必要なのです。

グローバルでサービス品質を確保

デスクトップサポート、パッチ処理、プリンター管理、サーバーの構成のようなサービスは、グローバルデリバリー・センターからリモートで作業するセントラルチームによって効果的に提供されます。しかし、現地のオンサイト・サービスが必要な場合、富士通は、もう一つの重要な差別化要素であり、現場エンジニアの作業を指揮するコントロールセンターとなっているGPMOが、富士通およびサードパーティで構成されるサービス・パートナーのネットワークを駆使して、世界中でサービスを提供します。

GDCはサービスデスク、インフラ管理、ネットワーク運用など、セントラルチームがリモートで提供できる全てのサービスを用意しています。GPMOは、GDCと連携して、現地のフィールドエンジニアによるオンサイト・サービスを提供します。GPMOチームは、世界中の全てのインシデント、それぞれに関連したサービスレベル契約、エンジニアが作業に取り組んだ時間、現地の倉庫にある交換パーツ、その他の関連データをリアルタイムにモニターしています。

本サービスのカバレッジは、顧客の要求に対応するために全世界に広がっています。 グローバルな顧客とサービスを構築する際には、顧客の業務が世界中のどこであってもサービスを提供することを期待されます。カザフスタンのファーストフード店にあるプリンターの交換から、ブラジル北部の工場にあるPCの修理まで、そのサービスのカバレッジは広く、一貫性のある管理が求められます。

グローバルの顧客向けに全世界でフィールドサービスを管理運用することは、従来の『故障修理』モデルのスケールをはるかに超えています。世界の従業員の使用機器を全て交換するといった、グローバル規模な変革を必要とする事例もあります。例えば、富士通では最近、8ヶ月間で35,000台の装置を全て交換した、大手航空会社のプロジェクトを実施しました。

リモートで人を管理するには、次の4つの秘訣があります。

・明確なガバナンス:チームを構成するメンバーが、富士通またはパートナーのどちらであるかに関わらず、何をいつまでに行う必要があるのかを明確に把握する必要があります。

・統一されたプロセス:顧客は世界中で同等のサービス・管理を受けることを期待しているため、一貫性のあるプロセスが定義されている必要があります。

・確立された管理運用プラットフォーム:GPMOは、富士通か、第三者によって提供されるサービスかの違いを意識させず、顧客に均一なサービスを提供します。

・信頼のパートナー・ネットワーク:一部のベンダーは、下請け業者にサービス提供のリスクを負わせ、ペナルティや損害賠償金を課すような場合もあります。対して、富士通はフィールドサービスの品質責任を持ち、品質を保てなかった場合にはその責任を取ります。そのため、品質を常に監視するプラットフォームを活用して、継続的にパートナーのサービス品質をモニターしています。

データに基づいたサービス

このことから、データ分析は、サービスをより効果的に、かつより顧客ニーズに合わせるために重要となっています。将来的には、ビッグデータ技術と現場のセンサーから得たデータを組み合わせることで、新たに複雑さも増しますが、サービスが劇的に向上することが期待されます。

次の大きなチャレンジは、Internet of Things(モノのインターネット)です。管理を必要とする新しいインテリジェント機器の規模が爆発的に増えていきます。センサーをインストール、保守して、センサーデータをリアルタイムに監視することは、サービスとして、全く新しいビジネスチャンスとなります。

そのチャンスの一つが、システムから集められた膨大な量のデータを、予兆監視に取り組むために活用することです。富士通のグローバル・デリバリー部門の技術保守サービスの事業開発責任者であるアンドリュー・メアーズ氏は、顧客接点の増加により利用可能になるデータ量が拡大し、かつそれぞれの顧客との接点で、流れるデータも増大していると、指摘しています。

私たちは全てのデータ分析を自動化しているので、リアルタイムで的確な決定を下すことが可能となり、これによって予兆監視サービスを提供しています。これまで蓄積したデータを基に、環境要因から、いつ問題が発生するかを知らせてくれるのです。これを活用して、問題の発生を事前に予見し、問題が発生する前に修復するという先進的なサービスを提供したいと考えています。

しかし、本当にエキサイティングな時代はこれからです。 ネットワークにつながる機器が増えれば増えるほど、センサーから更に多くのデータを収集することができ、各マシンの環境温度や湿度、小売店の来店顧客の増加などを知らせてくれます。私たちは、現在、これらのデータが生成されるや即座に捕捉し、行動する能力を持っています。

タブレットからスーパーコンピューターまであらゆるものを提供する力を持つ企業として、ITサービス分野における一層大きな差別化の可能性が広がっているのです。