M2M時代におけるボーダフォンの実践
Illustration: Ikon Images

M2M時代におけるボーダフォンの実践

2016年7月

モバイル・テクノロジー企業大手のボーダフォン IoT部門トップ、シリル・デシャネル氏が、M2Mテクノロジーを活用した革新的事例をご紹介します。

Cyril Deschanel, head of IoT at
Vodafone in Northern Europe
ネットワークにつながるデバイスが世界で数十億台にも拡大する中、IoTがユビキタスITの時代を先導しています。携帯電話向けネットワークを提供するボーダフォンのような企業にとって、この革命はスマートフォン以来の最大のビジネスチャンスとなっています。何故なら、特にWiFi通信が不安定な場所や全くつながらない場所において、M2M(machine-to-machine)通信は、新ビジネスを生み出すアプリケーションを大量に開発できる可能性を持っているからです。

モバイル通信企業大手のボーダフォンは、時代の流れに沿っています。6年前、M2M技術者は世界でわずか6人しかいませんでした。しかし、現在では、各国の現地チーム、およびIoTアプリケーションから得られるデータを管理する、コアとなるデータセンターとともに、エンドツーエンドのIoTソリューションとサービスを提供する1,400人の強力な専門家部隊へと成長しています。このような急速な立ち上げが成果を上げており、他のどの通信事業者よりもIoT通信において大きく市場をリードしています。

廃棄物管理、交通管理、街灯、デジタルサイネージなど、スマート・シティ・アプリが成長の多くを推進しています。最近、ロンドンで開かれた『IoTテクノロジーエキスポ』で、デシャネルはM2Mイノベーションの拡大、効率改善の可能性、新サービスのビジネスモデルの実現、未開拓市場の開拓など、5件の顧客プロジェクトについて講演を行いました。

BMWとSixt
スマート・カー・シェアリングの可能性

DriveNowは自動車メーカーBMWとレンタカー会社Sixtとのジョイント・ベンチャー企業であり、M2Mテクノロジーを使って都市での柔軟なカー・シェアリングを実現しています。2011年以来、ドイツの5都市に加えて、ブリュッセル、コペンハーゲン、ロンドン、ストックホルム、ウィーンでサービスを提供しています。顧客はモバイルアプリを使用して近くにある車を見つけ、スマートフォン上の安全なデジタルキーを使って車のロックを解除します。使い終わると目的地に車を乗り捨て、今度は他の利用者が利用することができます。そして、他に誰も使用しない場合は、DriveNowのスタッフが車をピックアップし、清掃と給油を行うようになっています。

これは自動的に、サービスが流れるように設計されています。ショッピングや空港への行き帰り、仕事の打合せなどに利用できます。サービス開始当初は、携帯のネットワークを使っていなかったため、ネットワーク接続が見つからないと車を解錠できませんでした。適切な信頼性とサービスを提供してくれるパートナーを見つけることが重要だと言えます。

英国環境庁
排水溝をネットワークに接続し、洪水を予防
近年、英国エリアでの洪水が大幅に増えたことを踏まえ、環境庁は全国30,000ヶ所にある排水溝の管理方法を迅速に改善する必要に迫られていました。道路下の地下道が詰まって、しばしば洪水が発生していました。従来、これを監視する唯一の方法は、事故が起きるたびに技術者を送ることでしたが、コストがかかり非効率でした。

これを解決するために、2段階のソリューションを開発しました。遠隔地で排水溝の状態をチェックできるソーラー発電のカメラと、そのデータを環境庁に送り返すモバイルSIMです。電力を節約するため、カメラは雨の時だけ起動するようになっています。また、妨害物が検出されたときのみ、技術者が派遣されます。対応時間が短くなり、スタッフの必要数が少なくなり、施設の破損が大幅に減少したことは大きな成果でした。

ケルヒャー
洗浄サービス向け遠隔マシンモニタリング

長年、サードパーティを通じて販売していたので、ドイツの洗浄機メーカー、ケルヒャーは販売後に顧客とつながりを持つことはありませんでした。そのため、ケルヒャーは顧客が製品をどのように使用しているか、その製品が現場でどのように機能しているかを知りたいと考えていました。そして、同社にリモート監視・制御プラットフォームを提供し、機械の中のSIMカードを利用して、ケルヒャーの使用法および装置の状態に関するデータを送り返せるようにしました。現在、問題が発生すれば早急に対応し、予防保守を行い、継続的に製品を改善し、売上を増やすことが可能になりました。

バンムーフ
自転車追跡技術が盗難を防止し、顧客満足を向上

オランダの自転車メーカー、バンムーフは世界で最も美しい、最高クラスの自転車を生産することで定評があります。問題は、それがあまりに魅力的で、盗難の主要ターゲットになってしまうことです。バンムーフからソリューションを求められ、フレーム本体に内蔵し、自転車の位置をピンポイントで特定できるように、バックエンドのプラットフォームに接続できる、モバイル型追跡デバイスを開発しました。これにより、盗難された自転車を警察が追跡できるようになりました。この技術を導入して以来、同社は売上を大きく伸ばし、顧客との関係を改善することができました。この成功があり、バンムーフはボーダフォンに、BMW とSixtのイニシアチブにおいて、同様のモデルを使って、自転車シェアリングのスキームを構築する相談をしています。

ムーコール
農家の睡眠を奪わない牛の出産警報システムの導入

酪農家にとって、牛の出産はストレスの多い時期になります。しばしば出生時に合併症が発生するので、農家は貴重な子牛が問題なく群れに加わるまで、出産期間全体にわたって立ち会うことになります。出産が夜になれば、開始されるのを待ち、選択の余地なく徹夜が続くことになります。ムーコール・システムは、モバイルSIMを搭載した監視装置を牛の尾にクリップで止め、尾の動きを測定して、出産の始まりを正確に予測することができます。

ムーコール社は、ダブリンのセンターから世界中の農業顧客を管理でき、牛の出産が始まる1時間前に携帯電話にショートメッセージで知らせることができます。このシステムは大きな成功を収め、分娩中の農家の生産性と効率を大幅に改善しました。現在、ムーコール社は、さらにIoT技術で畜産農家への支援を考えており、牛をモニタリングして受精の可能性を最大化することも、その一つです。