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コンチネンタル:新たなコネクテッド・カーの世界へ

2016年4月

自動車業界の企業は、急速に革新を起こす必要がある。さもなければ滅びるであろう。と世界的タイヤ・自動車システム会社コンチネンタル 高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transportation Systems)CEOであるセバル・オズ氏は主張する。

IoTによって革新が進む全ての業界のうち、交通は最も大きな影響を受けています。貨物輸送や物流から、自家用車や公共交通に至る、あらゆる分野において、コネクテッド・カーやスマートシティが現実になるような、大きな変化が起こる可能性が非常に高くなっています。しかし、その業界にいる企業がビジネス破壊のチャンスを捉えるには、テクノロジーだけでなく、全く新しい考え方や組織文化、体制、戦略の根本的な転換を必要とし、さらには、オープンデータ、プライバシー、セキュリティ、標準化、協業、顧客経験、信頼性に関する多くの「挑戦」に対処する能力も必要となります。

コンチネンタル高度道路交通システム(ITS)CEO
セバル・オズ氏
セバル・オズは、この劇的変革について最も見識がある人物の一人です。Googleで自動走行車の開発とマーケティングを主導した後、2014年中頃にドイツのタイヤ・自動車関連製品の大手コンチネンタルに加わり、392億ユーロ(444億ドル)の資産を持つコンチネンタル社がシリコンバレーに開設した新しいデジタル・イノベーション部門である、コンチネンタル高度道路交通システム(ITS)のCEOに就任しました。

ビジネスリスクはそれほど高くはありません。物事を進めるのに非常に特殊な道具や手法を採用する自動車業界の巨大企業は革新を急ぐ必要があります。さもなければ、どのような未来が来るかを見通せなかったコダックや他の多くの企業と同じ道を辿るでしょう。そして、その未来は今、起きつつあります。伝統的なビジネスを変革できないのであれば、競争に勝ち抜くことは出来ないという、信じられないほど革新的な環境にいます。

“本当におもしろいのは、IoT(Internet of Things)ではなく、インテリジェントなモノのインターネットであり、データを集約、分析して、知識レイヤを創り出せることです。”

異なる輸送手段と、新たな交通案内システムを行うためのインテリジェントなネットワークを構築しようという戦略のもと、コンチネンタルは145年の歴史を持つ企業の規範に真っ向から挑戦する独創的なリーダー、オズを探し出しました。彼女は、自動車業界において、既に成功を収めている企業の教訓を直ちに吸収する必要があると主張しています。

例えば、何故Uberは成功しているのでしょうか?それは、驚くべきロジスティックとバックエンドを持ち、数分以内に車を提供することができるからです。もし、それを支えるインフラがなければ、Uberは機能しません。事業を起こすには、これらの新しいプラットフォームの機能を確保する必要があります。すなわち、M2Mや人工知能、画像認識などの技術についてより良く理解し、データシステムやクラウド・インフラを統合できる必要があります。

伝統的な自動車メーカーは、これらを活用して急速に進化していますが、未来で生き延びたければ、もっと根本的なビジネスモデルを適用する必要があります。4年前、Google Xカーを開発していた頃、自動車業界において、自動走行車に関して誰も何も発言したがりませんでした。ところが、今では、どこの自動車会社の役員会議でも話題に上がっています。本当におもしろいのは、IoTテクノロジーそれ自身ではなく、インテリジェントなモノのインターネット(Internet of intelligent things)であり、複数のソースからデータを集約、分析し、知識レイヤを創り出せることです。このような時代において、自動車メーカーは自ら革新を続けています。

減価モデル

急速に進化しているのは技術だけではなく、所有の考え方や乗り物へのアクセスについても同様に変化しています。人々は、自分の車が96%の時間を私道に置かれたままで何も使われていないにも関わらず、価値が減少していく、基本的に「経費がかかるもの」であるという事実に気づき始めています。ミレニアム世代の多くは、数分以内に利用したいだけであるのに、何故コストがかかる上に価値が減少するものが欲しいのか疑問に感じています。

業界はこれを理解しながらも、まだ車を売るのがビジネスと言っていますが、知的にそして勇気を持って考えることが必要です。販売しているものは実は車ではなく、走行距離だということです。ですから、例えばより良いアクセス方法を提供して、人々がもっと旅行すれば、市場ははるかに大きくなり、走行距離は伸び始めるでしょう。すなわち、車は10年間で減価償却せず、3年であっと言う間に100,000マイルに到達してしまうので、3年で償却することになります。

これらの急進的な新モデルが形作られるとともに、コンチネンタルは車のインターネット接続によって可能になった他の新しいデジタルサービスを推進しています。2016年後半にITS部門は、自分がオンラインで注文した商品を、車のトランクに数分以内に届けるというサービスを米国で開始します。ユーザーは、インターネット接続されたトランクのロックを解除するワンタイムのデジタルキーを、配送するドライバーに安全に渡すことができます。ボルボは既にスウェーデンで同様のサービスを提供しています。(英語サイト)

このサービスの開発には、多くの課題を克服する必要があります。最も印象的なのは、コンチネンタルの市場における確固たる評判のおかげで、米国の大手自動車メーカーの全てがサービスに合意していることです。これら異なるパートナー全てのプラットフォームを集約することは、確かに大きな課題です。多くは、秘密の、孤立した社会のように運営されており、データの交換はほとんど行っていませんでした。しかし、コンチネンタルはこの業界で、140年以上の関係を築いており、パートナーはコンチネンタルがデータの取り扱い方法を理解しており、安全性やセキュリティを脅かすことはないと認識しています。

このような自動車プラットフォームとサービスが成熟し続け、自動運転車が道路を支配し始めると、組織の所有車か個人の所有車かに関わらず、カー・シェアリングは魅力的になると予測しています。どんな車でも、搭載された新技術を使えば、Uberを必要としなくても、マイクロタクシーといったものに変えることができます。シェアリング・エコノミーは、利用を基盤とした経済であり、これまで以上に資産を活用することによって推進されます。新しい効率性と革新的なサービスを創造し、未来を変えるのは非常にエキサイティングな機会です。

・ セバル・オズはロンドンのIoTテック・エクスポ2016で講演しています。