アリアンツ:デジタル化による顧客経験価値の向上

2016年6月

アリアンツ・ワールドワイド・パートナーズのイノベーション担当トップである、ステファン・クロッチ氏が、保険会社がお客様の関係を更に強化するために、どのようにIoT技術を活用しているかについて紹介します。

他の多くの業界と同じく、保険業界においてもデジタル・ディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)の課題に直面しています。しかし、多くの場合、テクノロジー主導のビジネス・モデルを持つ保険会社にとって、デジタル化とハイパー・コネクティビティは更なる進化と見る必要があります。

保険業はデジタル技術をいち早く導入し、常にデータを活用したビジネスを行っています。1950年代には、我々のシステムにのみ存在するデジタルな商品を生み出しました。

しかし、ドイツの金融サービスグループであるアリアンツの保険部門では、車や家、健康をモニターする装置に至るまで保険のサービスが適用されるもの全てにIT、つまりデジタル革新をもたらそうとしています。この取り組みは、アリアンツの中で様々な取り組みを生み出し、どのようにデジタル化やIoTがビジネスモデルを変革し、顧客にサービスを提供するのかを追及しています。ここでのお客様は、自動車メーカー、銀行、公共機関や、その他の大企業を指し、自社のソリューションに保険やサービスを組み込もうとしています。

IoTは、それら保険サービスの利用者との関係を、より深く、より広くします。保険が必要になる時は、事故にあったり、泥棒に入られたり、自宅が水漏れで被害を受けたときなど、何か悪いことが生じたときです。IoTによって我々はサービスを革新し、お客さまに常に寄り添うことができます。その結果、単にお客さまを支えるだけでなく、お客さまの「守り神」のように、リスクを未然に防ぐサービスも提供することができます。

例えば、センサーがパイプの水漏れを感知して住居が重大な被害を受ける前に警告したり、心臓モニターが何か問題を検知したときに医療チームに危険を知らせたりします。

ダメージに対する金銭面の補償だけではなく、問題を発見し、誰かを派遣して修繕するというような具体的な支援も行うのです。

デジタル化はどのように顧客経験価値を向上させるのか

顧客経験価値を向上させるだけでなく、デジタル化されたものからの継続的なデータのインプットによって、従来のお客様との接点である「サインと請求」だけの関係を越えた関係を持つことができるようになると考えます。そして、何かアクシデントが起こる前、起こった際、それ以降も、これまでよりも高い頻度でお客様との接点を持つようになります。

企業経営の観点からも、イベントが生じた際にリアルタイムで状況を知ることができるのは有益です。嵐が特定地域の建物に被害を与え、膨大な請求書が届く数週間後というタイミングではなく、保険会社は、リアルタイムに嵐の状況と詳しい被害レベルを知ることができます。

デジタル技術は、より豊かで、より多くの、満足度の高い、顧客経験価値を作りだす機会を与えてくれるのです。

デジタル・エコシステムが作る新世界

このようなビジネス・モデルの変革は、保険市場に根本的な影響を与えるでしょう。スマートホームのような新しいデジタル資産の周囲に作られるエコシステムの中で、企業は協調を進めています。アリアンツは、既にスマートホーム、コネクテッド・カー、医療モニタリング、旅行、交通の分野ですでにエコシステムを作り始めています。

これらのエコシステムは、センサーやIoT技術を提供するデバイスや通信企業だけでなく、配管工、技術者、医療関係者など、サービスを提供する企業にまで広がっています。アリアンツのチームは、それらのパートナー企業がエコシステムに参加できるように、すでに一連のオープンAPIを提供し、コネクテッド・カー企業などのお客様との連携を行っています。

アリアンツは、これらエコシステムのオーナーになりたいと思っています。なぜなら、オーナーがお客様の接点とエコシステムをコントロールできるからです。また一方で、他のエコシステムにも参加したいと考えています。

このようなエコシステムの具体例は、アリアンツとしてこの分野で初めての商品であるモニタリング、支援サービス、保険商品を統合した“Smart Home + Allianz Assist”であり、2015年11月にドイツで導入されました。IoTサービスは、24時間、お客さまの住居をモニターし、煙、水、何者かの侵入などが発見された際にアリアンツのサービスセンターにアラームを自動的に送るとともに、直ちにサービス要員が駆け付け、保険の請求も開始されます。

アリアンツはこのようなエンド・ツー・エンドで統合したサービスを富士通のRunMyProcessによって実現しています。RunMyProcessは、デジタル・プロセス・レイヤを形成し、エコシステム内のすべてのプロセスとパートナーをつなげています。スマートハウスで水漏れが生じた際には、休暇中のお客さまに直ちに通知し、配管工を手配し、被害を見積り、請求書が作成され、アリアンツが支払います。

IoTと顧客データ:なぜ価値の共有が重要なのか

チャレンジなくして新しい市場は開拓できません。つながるデバイスの急激な増加により、新たなリスクが生じており、ハッキングされる危険性、お客様のデータのプライバシーが破られる可能性が生まれています。

保険業界では、自動車事故、自然の大災害、泥棒などについて、常に統計情報を活用し、リスクを計算します。データは我々にとって常に重要な要素ですが、いまや、その価値がさらに高まり、同時に即座に入手できるようになりました。

お客様の情報の保護には特に注意を払い、データがどのように使われ、そのデータの価値をきちんとお客様に説明できるようにしています。常にお客さまとデータの価値を共有する必要があると考えています。