写真:スコット・ウッドワード

ビジネス革新におけるCIOの重要な役割

2018年2月

「デジタル革新とビジネス戦略は切っても切れない関係にある」とイノサイト社のスコット・アンソニー氏は主張します。そして、この2つをつなげるのがITリーダーです。

アンソニー氏は、今日、企業が直面している最大の課題について述べる際、しばしばテレビドラマの『ゲーム・オブ・スローンズ』の文言を引用します。本作品の舞台となっている小氷期の脅威に触れ、「冬がやってくる」という彼の言葉は、世界中のあらゆる業界でこれから起こるであろうことを的確に表現していると言えます。

「デジタル化によるディスラプションが、過去は制約だらけであった、オープンで再形成された市場を破壊しています」とアンソニー氏。数十年にわたり一部のニッチな市場に対してイニシアチブを発揮してきたトップ企業も、今では、自社を2つの側面からの革新により、このディスラプションの脅威を回避せざるをえない状況になっています。

「これが、現在市場に参入しているトップ企業が直面している最大の変化です」とアンソニー氏。これらの企業は、早急に既存ビジネスを再配置し、攻撃に耐え、存続に必要なキャッシュフローと能力を維持する必要があります。アンソニー氏はこれを『革新A』と呼んでいます。同時に、これらの企業は、自社の将来的な基礎を形成する新たなビジネス活動を作り出す必要があります。これが『革新B』です。

「この2つの大改革は、経営陣全体に認められる必要があり、その成功を決定づける中心的存在がCIOです」とアンソニー氏は述べています。

「CIOは、組織の方向性の決定において、CSO(最高戦略責任者)と同等、場合によってはCEOと同等の役割を担う必要があるのです」

「CIOは2つの革新において極めて重要な役割を果たすと考えます。なぜなら、こうした変化の背景には、デジタルが重要な役割を果たしているからです」と、アンソニー氏は述べます。「革新Aでは、ほとんど全ての場合において、既存のオペレーションや顧客との間に設けたインターフェースをデジタル化する必要があります。CIOは単純に、これを認める必要があります」。

『革新B』では多くの場合、デジタル化に対応する、新しいビジネスモデルの開発が必要となります。例えばその中で、新しい部門がデジタル・プラットフォームなどを開発することもあるでしょう。「2つの革新の中核となるのは、どんな場合でもデジタルに他なりません」とアンソニー氏。

「CIOは、デジタル革新を推進する動き(現実には、既に進行している場合が多いのですが)を組織の戦略的方向性と関連づける必要があります。実際、CIOは、CSO(最高戦略責任者)と同様、場合によってはCEOと同等の立場にある必要があるのです」。

もちろん、現実には、多くのITリーダーたちはその役割を担っていません。「もし、戦略的変更があったにも関わらず、CIOが重要な役割を果たしていないとしたら、それは大きな過ちであり、2つの革新の動きをひどく妨げることに繋がります。戦略とテクノロジーを全く別のものとして扱うことは、本当に馬鹿げたことだからです。これはよくあることと考えてはいけません。大きなチャンスとして、捉えるべきなのです」とアンソニー氏は強調します。

初期に見られる兆候

「テクノロジー・リーダーは、ビジネス革新の実行に関わるだけでなく、破壊的脅威の出現に備え、偵察者としてうまく配備されるべきです」とアンソニー氏。デジタルが破壊的な力となるとき、CIOは中心から遠く離れた場所で何が起きているか把握する必要があるのです。

「大企業の経営者が直面している最大の課題の一つは、結果的に最大の脅威となるこうしたディスラプションが、初期の段階では比較的無害に見える場合が多いということです」とアンソニー氏は警告します。「市場の末端で始まった後、コアとなる技術がうまく機能しなくなり、ビジネスモデルが不明確になります。そのため、軽視されてしまいがちなのです」。

アンソニー氏によると、経営者が見抜くべき、破壊的変化を知らせる初期兆候は4つあります。「1つ目は、悩み、何か異なるものを探しているような、落ち着きのない顧客を探すこと。2つ目は、新たな可能性を生み出す先端技術を探すこと。3つ目は、これまでにない方法で進められている革新的なビジネスモデルを探すこと。そして最後に、収益の中に停滞している品目はないか探すこと。これらが、ディスラプションの初期段階でよく見られるパターンなのです」。