写真:クリストファー・レーン

デジタル時代のCIOが果たすべき2つの責務

2017年10月

コロンビア大学 ビジネススクールのリタ・マグレイス教授が、破壊的競争の時代に備えた組織作りに取り組むITリーダーの挑戦について語ります。

ITリーダーの役割は常に変化しています。ITリーダーは自らが支援する業務において、常にイノベーションを起こし、度々改革を行うための中核的な役割を担っています。

CIOらは、レガシーのバックボーンの管理、システムの稼働維持、セキュリティルールの設定などコストをなるべく抑えてITを運営する一方で、デジタル化に向けた取り組みも行わなければいけないことに苦労しています。

現在、あらゆる企業がデジタル企業になっています。従来の意味でのCIOというポジション自体が、少し時代遅れに感じられ始めています。しかし、IT分野でのキャリアを積み始めた当初からCIOという役割を熱心に観察してきた人からすると、現在のCIOには2つの基本的な特徴があります。

一対の戦線

こうしたCIOが真っ先に取り組んでいる大きな仕事は、会社の柔軟性を阻んでいるレガシーシステムを除去することです。こうしたシステムを社内に組み込むことで、古いビジネス・モデルや古いビジネス・プロセス、古いお客様の見方をする等の罠に陥ってしまうのです。

CIOは「健全な撤退」をマスターすべきです。そのためには、財務、外交、そしてテクノロジーなどが混在した戦術が必要です。

これは、多くのCIOが挑むことになる戦いです。1960年代や1970年代まで遡るシステムをリタイアさせるためにCEOに500万ドルの予算を求めれば、「最新システムでないのに、それだけの支出で何が得られるのか」「RoIはどうなっているのか」などの厳しい質問が返ってくるでしょう。問題はRoIがマイナスであることと、CIOがもっとCEOやCFOにレガシーがもたらす目に見えない費用を理解してもらい、システム更改で得られるものを示さなければならないのです。

また、こうした投資のリソース確保は、別の理由からも難しくなっています。誰もが、こうした業務に取り組みたくないのです。古いものを一掃することなど誰も乗り気ではなく、新しいことに取り組みたいのです。

CIOの2つ目の責務はもっと明るく前向きなものです。デジタル化において、ビジネスにいかに対応するかということです。スピードはたいてい思っているより速いのです。

CIOは、デジタルという点で経営陣のパートナーとなり、将来に向けて物事を進めなければなりません。その一方で、ハッキングや機密データの損失、その他のセキュリティの課題から企業を守る必要もあります。

現在のベストなCIOたちは、こうした2つの課題に正面から取り組んでいるのです。