デジタル時代におけるITの再構築

2016年1月

経営層に最高デジタル責任者(CDO:チーフ・デジタル・オフィサー)を含めるということは、ITのトップに新たな共生の関係を生み出します。

デジタル技術が台頭し、市場が変革し、競争環境が変わることによって、CIOの役割も全く異なるものになりました。今やITのトップは、ディスラプティブなテクノロジーのトレンドを見定め、潜在的影響について社員を啓蒙し、デジタルをどのように活用するのかを示す、デジタルに関するソート・リーダーであることが求められます。

世界最大規模の保険会社のCIOにとって、この変化は喜ばしい展開でした。ロンドンに本社を置くアビバのトップである、シヴァナンダン氏の役割は、ビジネスを前進させるために、最良のテクノロジーを選択し、ビジネスの最前線に持ち込むことです。そして、テクノロジーの採用タイミングを誤らないように、更にテクノロジーの進化の先を見通さなければなりません。CIOやCTOは、現在では単なるITサービスの発注者ではなくなってきており、どのように保険業界を進化させていくのか、どこに保険サービスを提供するのか、これまでとは異なるイノベーションをおこすのか等、既存サービスに関する議論を呼び起こすためのソート・リーダーシップ活動が求められています。

その結果、異なるスキルが求められるようになってきています。今日のCIOは、開発者とエンジニアを最大限に活用するために、深い技術的知識を備えていなければなりません。しかし、それと同時に、CIOは企業全体にテクノロジーの価値を訴求し、テクノロジーをビジネスの課題にどのように適用できるかを考え、新製品のアイデアを呼び起こし、それらを導入していかなければなりません。

CIOとCDOの相乗効果

シヴァナンダン氏の役割は、デジタル推進者というだけではありません。2014年4月にアビバに入社した際に、CEOであるマーク・ウィルソン氏から、最高デジタル責任者(CDO)を、IT部門に含めるかどうかを問われました。彼女が、金融サービストップ企業のキャピタル・ワンのCIOに就任していた当時は、CDOは事業部側に設置するポジションだと考えていたので、当初はその考えに否定的でした。 しかし、1年前にアビバの初代CDOであるアンドリュー・ブレム氏が就任して以降、CIOとCDOの役割は、うまく調和していると感じています。最高デジタル責任者はパートナーとなります。CIOとCDOは、常にお互いを意識しあい、物事をより良く進める方法を考え、それを成功に導くために共に取り組む関係にあります。

彼女の経験上、CIOとCDOの間には、創造的な緊張関係があります。どちらも最適なソリューションを構築することに熱心に取り組まなければなりません。両者の役割は、重複している所もあり、シナジーがあるところもあります。互いに他方の領域に入り込んでいっているのです。キャピタル・ワンでは、CDOはデジタル製品の価格とマーケティング、デジタル製品の損益に関して責任を持っていました。

アビバでの役割も、とても補完的です。もちろん、常に意見が合うわけではありません。ですが、異なる見解を持つことで、新たな知見が生まれ、最終的により良い製品サービスができるのです。

“今日では、テクノロジーに関する組織に所属する経験なくして、オールラウンドの経営者になることはできません。”

上記を反映して、アビバはビジネスの3本柱の一つに、デジタル・ファーストを掲げてきました。これは、デジタルの意思決定が、今やビジネス全体にわたってより広範囲で行われていることを意味します。この動きを、CIOのポジションを脅かす潜在的な脅威とは見ていません。テクノロジーが経営の議題になっていることは、好ましいことです。企業の目標の60%が、デジタルやテクノロジーに関係しているのです。技術者として、テクノロジーが鍵となる企業に所属したくないと誰が感じるのでしょうか。

そして、彼女はIT部門以外の社員に、パート・タイムの技術者になって欲しいと考えています。本当に見ていて素晴らしいのは、経歴の大部分を保険業界で過ごしているビジネス側のパートナーがデジタルに興味を持ち、プロジェクトを推進し、ビッグデータ、APIやプライベート・クラウド、パブリック・クラウドなどに関して学習しようという熱意を持っていることです。テクノロジーが世界を主導している訳ではないという一般的な意見をそのまま鵜呑みにしてはいけません。アビバの同僚全員が、保険業界も例外ではなく、テクノロジーを最大限に活用しなければならないと感じています。

事実、アビバで保険数理士、製品担当者やマーケティング部門のメンバーで、高いポテンシャルを持った人は、自己の目的を達成するためには、テクノロジー部門へのローテーションが必要だと感じています。今日では、テクノロジーに関する組織に所属する経験なくして、オールラウンドな経営者になることはできません。なぜなら、今やアビバがテクノロジー企業であり、その製品がたまたま保険であるという事実を理解しない限り、成功することはないでしょう。