写真: ステファン・ホブマイヤー

サプライチェーンを革新する4つのデジタル技術

2017年2月

ドイツポストDHLのサプライチェーン部門担当CIO兼COOマーカス・ヴォス氏は、デジタル革新が今日の企業のあり方を変え、明日のロジスティクス市場に破壊的創造をもたらす、と断言します。

ドイツポストDHLグループでは他の大企業と同様に、ITグループが様々なデジタル技術の可能性を追跡・評価することによって、運用面を革新し、競合優位性を拡大し、そして新たなビジネス・モデルを実現することを目指しています。

同社のサプライチェーン事業は158億ユーロ(168億ドル)規模であり、CIO兼COOのマーカス・ヴォス氏と配下のITチームは、数十もの技術革新の情報を収集し続けています。しかし、その中でも特に重視している技術は、拡張現実、ロボティクス、無人航空機、そしてIoTの4つです。これらの技術は最近導入した例の中でもすでに事業価値が生まれており、今後さらにその影響は大きくなるだろうとみています。

よりスマートなビジョン

スマートグラスの初期バージョンは相対的に失敗であり、それはコンシューマー市場において特に顕著でした。DHLがスマートグラスの技術を初めて検討したのは2014年でした。倉庫作業者の商品の選定、追跡、そして発送作業の向上を目指すものでしたが、光学式のヘッドマウント・ディスプレイもユーザーインターフェースも「格好が悪く、使いにくい」ものでした。しかし、その後、技術は大幅に進化し、DHLサプライチェーンでもグローバル倉庫ネットワーク全体でスマートグラスを採用し、倉庫内での商品選定作業の最適化を支援するまでに至っています。

スマートグラスの採用は従業員に好評なだけではなく、想像以上の効率改善をもたらしています。特に、新入社員が利用する際に大きな効果が表れています。オペレーションの生産性が10~12%改善し、すでにこのクラスで最高レベルと言われています。これまで倉庫に立ち入ったことも商品の選定をしたこともなかったような新入社員でも、スマートグラスをつければ、1時間以内に作業ができるレベルになります。

ロボットについて

サノフィやヴァージン・トレインズ、エアバスなど多岐にわたるお客様にカスタマイズしたロジスティクス・ソリューションを提供するDHLサプライチェーンは、ロボティクスの幅広い適用も模索しています。つまり、ロボットの応答性や適用力をさらに高めようとしているのです。自動車業界は数十年の間、ロボットを活用してきましたが、人とは離れた、専用のケージの中で働いていました。ロジスティクス環境では移動が多く、ロボットも人に寄り添って仕事をし、周囲の動きに迅速に反応できなければなりません。

ここ数ヶ月、DHLサプライチェーンでは、荷物の保管および選定作業のため倉庫内を移動する作業者に自動的に付いていくインテリジェント車両、EffiBOTの試験運用を実施しています。EffiBOTがあれば、倉庫内で大型のトロリーを押して歩く必要がなくなり、不要な力仕事もなくなります。DHLでは、様々な部品のパッケージ作業など、繰り返しの作業にロボットを活用しています。今回の試験運用が上手くいっているため、具体的な展開も現在計画しているとのことです。

これは、まだ始まったばかりです。ロボットはさらに改善されていくと考えています。物を見て、反応し、選んで、移動するようになる。これらすべてが今、実現されようとしています。

準備完了

DHLでは、無人航空機(ドローン)もロボットと同じくらい話題になっています。テクノロジーは、これまでにないスピードで成熟してきています。

本社のあるボンで、DHLのチームがドローンにライン川をまたいで荷物を運ばせる実験をしていたのは、わずか1年半前のことでした。しかし、2016年中旬には、ドイツ全土に広がる同社のパックステーション、お客様が暗証番号を入力すれば、荷物を受け取ることができる宅配ロッカーと並んで、ドローンが既存のメニューに試験的に加えられました。これは、コンシューマー市場でドローンの実用性を証明したことを示しており、日々の生活の中で、ドローンによる配達が行われるまでそう時間はかからないと考えています。

モノとの交流

DHLは数十年前から運用にインターネット接続デバイスを活用してきました。しかし、IoT技術がさらに高度化するにつれ、移動中のモノの流れをよりインテリジェントにしていくチャンスは大幅に拡大しました。

自分たちの環境を最適化するため、すでに様々な方法でセンサーを活用しています。IoT技術は、サプライチェーンにおいて全く新しいモノのやりとりを可能にします。

3つの例を紹介します。設備内でのフォークリフト・トラックの動きをIoTで追跡することによって、リソースの稼働状態を一定に保つことができるようになりました。一部の倉庫ではキャパシティが余っている可能性があります。フォークリフト別の移動頻度をデータとしてセンサーから取得するだけで、プロセス全体から大きな無駄を省くことができるのです。

DHLでは、サプライチェーンにさらにインテリジェンスやコネクティビティを実装し、発注された商品が必要な場所、必要な時に配送されるよう取り組んでいます。お客様の車のトランクへの配達も対象としています。

従来からあるサービスに関しても、例えば、モノの移動に対して提供されている「トラック&トレース(追跡)」サービスの改良にIoTを活用しています。ある商品が、お客様に届くまでのどの段階にあるのかを特定するだけでなく、その環境条件も検知することが可能です。特に、医薬品など、一定の温度や湿度下での管理が必要なデリケートな商品を扱う際には、こうした対応が重要となります。全ては、お客様が商品を適切な品質で享受できるようにすることなのです。

開発が進むにつれ、ビジネスをデジタルに拡大させるチャンスも加速しています。こうした技術開発のスピードはめざましいものです。そして、その技術の多くは今までにない、全く新しいものなのです。