Image: Harry Borden

規則主義から原則主義の企業へのシフト

2014年10月

次世代のCXOは、ビジネス革新からソーシャル革新にスコープを広げ、組織がいかにビジネスを行っていくのかについて検討しています。

リンダ・グラットン教授は、30年以上にわたって企業活動を研究しています。しかし、ここ数年で見えてきた変化は、彼女にとっても驚くべきものでした。グローバル化、ハイパー・コネクティビティ、世界的な金融不安といったメガトレンドの影響下で、規則中心の組織モデルが崩壊し、原則をベースとした企業が台頭してきたのです。

30年前の企業では、規則が全てでした。組織はどのような規則を持つべきか、規則をどのように運用すべきか、といったことが重視されていました。しかし、差異化を図りたいと考えている次世代のCEOとともに変化が始まっています。

代表例の一つとして、イギリスとオランダに本拠を置く消費財メーカーのユニリーバと、そのCEOであるポール・ポールマンのお話を紹介したいと思います。組織は規則を必要としているが、企業は原理原則をベースとして動いていると彼は主張します。ポールマンのような人々が、世界に変化を起こすために何をすべきかについて話し、より多くのリーダーが参加したいと思うようなストーリーを作り出すのです。

より先進的な企業のCIOの多くは、実際にそれがどう機能するのか、理解しています。社会価値とビジネス価値の創出を目指すことで、組織運営に直接的な効果をもたらします。例えば、原則をベースとする企業の管理職が、事業部門の二酸化炭素排出量の50%削減目標を設定したとします。これは、有益に思えますが、組織のトップから指示が降りて、その管理職の来年のボーナスが目標にリンクして、初めて機能します。その時点で、素晴らしいアイデアが行動に変わります。

すなわち、原則主義の企業は、ビジネスの進め方と実際の活動との整合性をより強める必要があります。例えば、二酸化炭素排出量の削減にコミットするために、通勤時間を減らして在宅作業を推進したり、海外での会議を減らしてオンライン会議を推奨したりすることが必要となってきます。結果として、働き方を変えたり、オフィスを再設計すべきか、という質問に答えなければなりません。

価値創造からイノベーションまで

原則主義を進めることは、必ずしも利他的であるということではありません。多くの場合、企業にイノベーションをもたらす素晴らしい人材を引きつけるために、推進されているのです。多くの若いプロフェショナルな人材は、就職する企業が企業としての責任や社会的責任を示すことを期待するようになってきています。

グローバル化の意味するところは、世界の何処かで誰かが、あなたができることをより早く、より安くできるようになるということなのです。よって、コストの高い社会では、価値はますますイノベーションによって生み出されるようになっていきます。これは、人的資産に大きく集中することにつながり、人材や組織、人々が境界を感じずに共働できるようなテクノロジーへの投資につながります。

共創を促進する触媒として、デジタル技術は、非常に大きな役割を果たします。ここ数年、テクノロジーがコミュニティを作り出し、そのコミュニティが革新を生み出すという、驚くような例を見てきました。『テクノロジーとヒューマン・インタフェースの未来はどこにあるのか』という問いに対する答えは、どのように革新を起こすのか、組織の内外で共に働く人々をどのように集めるかにあるといえます。