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※ 動画右下にあるアイコン[cc]をクリックして「日本語」を選択いただきますと日本語字幕がご覧になれます。写真:エンノ・キャピザ

AIの進化をヒューマンセントリックに考えるべき理由

2017年8月

人類は、未来型のスーパー・インテリジェント・マシンが私たちを脅かす存在ではないことを確かにするために断固とした行動を取る必要がある、と人工知能(AI)分野の研究者フランツ・ヨーゼフ・ラーダーマッヘル博士は語っています。

ウルム大学の教授としてAIを研究し、エコ社会実現のイニシアチブ『グローバル・マーシャル・プラン』の共同創設者であるフランツ・ヨーゼフ・ラーダーマッヘル博士によると、人類は進化の過程における岐路に立っています。近年起きているAI分野の並外れた躍進により、現在、人が担っている経済活動の多くがスーパー・スマートデバイスに取って代わられる可能性があることが垣間見えます。こうした変化は、デジタル・インテリジェンスが単により広い意味での自動化を行うだけではなく、人類を越えていく可能性をも秘めています。

ラーダーマッヘル博士は、ロボットが人間と同等もしくはそれ以上の論理的思考や意思決定能力を持つようになった世界で、人々がどのような未来を望み、マシンにどのような役割や力を与えるかを考え始める絶好のタイミングだと見ています。

そして、我々は根本的な選択肢に行き着くこととなります。それは、ヒューマンセントリックな方法で、つまりマシンのデザイン全体を人に対して良い影響を与えるように、人を中心に考えて、AIを開発するか。あるいは、私たちが意図しないものに進展してしまうかもしれない自律性を備えた汎用システムを構築するか、ということです。

「インテリジェント・マシンのデザインは、ヒューマンセントリックの志向から外れたものにしてはいけない」

汎用的なインテリジェント・マシンが人類の理解や制御を超えるリスクは高いです。最近では、FacebookのAIラボでこうした自律的な行動が確認されたと報じられました。研究者はオンライン取引に使われているAIチャットボット2台が、英語からかけ離れた言葉でやりとりをし始めたことを発見したのです。ロボットが作り出した英語の方言が解読不可能だったため、彼らはそれらのロボット2台の会話をシャットダウンしました。

人のコントロールが及ばないAIを作り出さないためには、新たなグローバル・ガバナンスの構造を構築する必要があるとラーダーマッヘル博士は考えます。国際的に合意、履行されることを前提とするこうした構造は、どのようなインテリジェント・マシンが開発される場合でも、そのデザインやプログラミングがヒューマンセントリック志向の域から出ることを許してはいけないことを意味します。

こうした考えは、AIが人類の実質的な脅威となる、もしくは次の進化の過程で起きる自然なことであるというオブザーバーが描いたシナリオに、少なくとも部分的には影響を受けています。

マシン 対 生身の人 のインテリジェンス

この点について、ラーダーマッヘル博士は懐疑的で、次のように述べています。将来について極端な可能性を推測したがる人もいます。人類は一つの通過点に過ぎず、消滅する前に別の知的な存在を作り出すためだけに作られたものであると主張する人もいます。

この考えは、人の脳の「meat-based intelligence(生身のインテリジェンス)」は、「electronics-based intelligence(電子のインテリジェンス)」に向けた単なる通過点であるという主張ですが、それ以上に議論すべきことがあります。

もちろん、あらゆる面で人類よりもはるかに活躍するマシンの構築が可能だということをラーダーマッヘル博士自身も想像できています。マシンの命は永遠であり、『脳』を容易に修正できますし、エネルギー量も多く、寝る必要もありません。また、宇宙探索も可能です。しかし人類が、なぜ自分たちが作ったものに対して自らの優位性を手放さなければならないのか、といった議論にまでは至っていません。

これを解決するポイントは、AIをヒューマンセントリックな方法に導くことです。つまり、今後数十年で積極的にルールを定めていくことが必要です。ラーダーマッヘル博士は常に自分たちが人類にとって良い世界を構築しているところを見ようとしていると言います。そこには、強力なマシンが存在するかもしれませんが、それは私たちにとって代わるものではなく、私たちのコントロール下にあるものです。