Image: Emmanuel Fradin

ブロックチェーンは何故ビジネスモデルと産業に変革を起こすのか

2016年7月

ブロックチェーン技術が定着すると、銀行、公益事業から娯楽、農業まで、ほとんど全ての業界において主要なビジネスモデルは崩壊していくと考えられています。

ブロックチェーン技術はデジタル通貨ビットコインの基本的なメカニズムとして生まれたので、その潜在的可能性は金融分野で最大であり、その分野に限定される、と広く信じられています。しかし、この考えは実際、その活用範囲が既に広がりつつあるという現実を見誤っています。

ブロックチェーン革命がどれほど大きいものかは分かりませんが、インターネット第1期の変化よりはずっと大きいと考えられます。ブロックチェーンは商業活動や富の創造のコアな部分、そしてイノベーションの中心、経済活動のメカニズムそのものに影響を与えます。 それは、企業の基本構造や、社会に存在する能力を結集し、商品やサービスを創造し、世界の他の国々に関与する基本的な構造を変革してくれるという期待があります。多くの業界の窓を鳴らし、壁を揺るがすように、すでに非常に広範囲に及ぶビジネスモデルが確立しつつあります。

“5年から10年で金融サービス業は見る影もなくなる”

音楽家は、ファンや映画制作会社、放送局に音楽を直接提供することによって、レコード会社に譲り渡していた価値の多くを取り戻すことができます。個人投資家は株式市場経由ではなく、自分が株を持っている企業と直接取引できるようになります。そして、ピアツーピア・ネットワーク上で資産を共有するようになり、個人で車を保有することは減っていくでしょう。これらはほんの数例に過ぎませんが、他のことを含めて進展するにつれ、特に金融サービスの2分野が最もブロックチェーンの影響を受けるでしょう。

5年から10年で金融サービス業は見る影もなくなるでしょう。銀行は実際に何を行っているかを考えてみると、価値を動かし、蓄え、貸し、交換し、計算し、証明しています。これら全てがブロックチェーン技術によって見事に破壊される可能性があります。

それは、金融サービス業界全体が注目していることです。しかし、単に脅威というわけではなく、逆に大きなチャンスでもあります。どのようなチャンスかは、主要銀行で進められている、多くのブロックチェーンのパイロット・プロジェクトを見ると明らかです。例えば、サンタンデールUKは従来の送金サービスに代わる国際的なモバイル決済用のブロックチェーン・アプリケーションを試行していると、今年6月に発表しました。 同月に、ブラジルのブラデスコ銀行は直接モバイル決済と送金が行えるブロックチェーンを活用した新しいデジタル・ワレットを試行しているとのことです。ブロックチェーンの本質的に安全なアーキテクチャを活用して、みずほ銀行と富士通は、国境を越えた証券取引の決済プロセスの効率化に向けた実証実験を行っています。これにより、取引履歴を改ざんすることが不可能になるだけでなく、国際証券取引の処理時間を現在の3日から即日に短縮できるようになります。

分散による破壊

このような動きは、消費者や小さなビジネスに自由をもたらします。ある小さな小売店でカードを使用すると、分散されたブロックチェーンをベースとした決済は、その台帳を変更するだけなので、決済処理は数日もかからず瞬時であることに気づくでしょう。

破壊が起こっている、もう一つの領域は会計業です。 会計会社の収入の3分の1は監査から得られています。しかし、ブロックチェーンを使用すると、貸し借りという複式簿記の会計処理だけでなく、トランザクションごとに自動的に更新日時付きの記録をブロックチェーン内に作成することができます。これにより、数千万ドルの費用がかかる年次監査が、瞬時にリアルタイムで行うことができるようになります。この結果、先進的な会計会社では監査作業のリソースを、よりハイ・エンドで付加価値の高い活動に投資できるようになります。先例はどこにでもあります。あらゆる業界で、あらゆる主要な経済において、大きな破壊が起こり始めているのがわかるでしょう。