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Image: Ben Gold

スマートシティという名のデジタルな未来図

2016年8月

IoT(Internet of Things)は、都市のインフラに大きな変革を起こし、都市の混雑緩和、汚染軽減、エネルギー効率の改善をもたらす可能性を持っています。世界の都市の発展は、ターニング・ポイントに来ています。そして、この発展を進める鍵となるのが、IoTです。

今、都市にとって、とてもおもしろい時代が訪れています。その理由は、この10年から20年で、私たちの生活を変えたネット上のデジタル技術が現実の世界に入ってきているからです。インターネットからIoTに発展したことによって、私たちの考え方、デザインの仕方、都市での暮らし方が劇的に変化しています。

この変化は、デジタル革命という言葉でのみ説明できるものではありません。また、スマートシティという言葉もテクノロジーに重きを置き過ぎだと考えています。何らかの情報を知覚(センス)するIoTは、反応する要素と組み合わされて、都市の住人に、より良い生活をもたらします。この状況を『センシングする都市(senseable cities)』と呼んでいます。重要なことは、モノのテクノロジーにではなく、人にフォーカスすべきと考えています。

都市をデジタル化するための必須事項

都市機能を改善する必要性が、間違いなく増えてきています。4つの重要な数字(2、50、75、80)があり、これは都市の次なるステージやデジタル化の必要性を示しています。都市は地球表面のわずか2%しか占めていませんが、人口の50%にあたる人がそこで暮らしています。また、エネルギーの75%を消費し、人間が排出するCO2の80%を都市が排出しています。都市をより効率的、かつ持続可能にするために、何か行うことができれば、それは地球にとって大いに重要なことになります。

スマートシティを構成するテクノロジーの多くは、2つの基本要素に分けられます。一つは持続可能性(sustainability)です。エネルギーを節約し、より効率的に活用することで、20世紀に生み出されていたムダの一部を無くすことができました。これは、交通、エネルギー、廃棄物の管理によって、全てを効率化しようというものです。効率性と並んで、デジタル化された都市におけるもう一つの重要な要素として、資産を共有する機会、つまり、社会性(sociability)があげられます。

その兆しは、Airbnbによるアパートの空室共用や、Uber、DriveNow、Lyft、Zipcarなどのカーシェア、ライドシェアなどで既に見られています。この次のステップとして、効率化と社会性の両面で、リソースの共有を新しいレベルへと上げていきます。これらは全て同じ原理で実現されます。既存技術によって、現実社会にあるモノにタグを付け、よりダイナミックな方法で活用します。

“都市は、いつの時代も夢を描けるキャンバスであり、更にデジタル化が進んでいる。”

このような予測を証明するために、ラッティは、様々な研究に取り組んでいました。2014年初めに辞任するまで、データのフル活用に取り組んだニューヨーク市長のブルームバーグ主導によるオープン・データ政策を積極的に活用しました。ブルームバーグ市長は事務所の壁に、「我々は神を信じるが、データが全てをもたらす」というメッセージを掲げていました。彼がニューヨークに関する多くのデータを持っていたため、都市周辺のタクシーの動きの詳細を分析することができました。これをビッグデータとして分析すると、すばらしい発見につながりました。

マンハッタンでは、現在よりも40%少ないタクシーの量で、数分以内に目的地に連れて行くことができます。車という移動手段を共有することで、はるかに小規模なインフラで都市交通を運営することができます。これにより、道路上の車両が減り、渋滞、汚染、エネルギー消費量が少なくなります。

このような例は、都市のデジタル化がどれほどポジティブで大規模な影響を及ぼす可能性があるかを示しています。それはまた、5,000年以上にわたり洗練され、発展してきた人類と都市の関係に対して、IoTが主導する変革がどのように、関わっていくかも明確にしています。都市は常に社会のキャンバスであり、私たちの夢のキャンバスです。 しかし、今日では物理的なキャンバスだけではなく、デジタル化されつつあります。

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